近くと遠く
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(仮)土地を上書きする暮らし
20年ほど前にここへ越してきた施主がこれからもこの場所で暮らし続けるための拠点としての住宅である。土地と堤防が並行していてしばしば通行人と目が合うのを避け、鳥の居場所となっているユズ、クロガネモチ、金木犀、前の住人が植えたシマトネリコの高木を残しながら、すこしだけ角度をふった南北に長い配置計画とした。
経済性を考慮して、基礎のフットプリントを小さくしてキャンチレバーとした鉄骨フレームを一層めに、その上に木造の平屋を二層めとした。浸水対策でもある持ち上げられた居住空間は、どこにいても川の眺めを得られ、下階はガーデニングやものづくりなど家族の好きなことをするピロティとなる。中央の小上がりは収納やPSの機能を担い、壁を立てずに空間を緩やかに分節する。小屋梁は用いずに登り梁で構成することで、小上がりに応じた天井高を確保した。このような断面構成によって、敷地内外関係なく広がる空間を最大限暮らしに取り込む下地となることを目指した。
限られたスペースの中では過ごし方が重なり合うことになる。そのため内部を構成する要素は、切ったり繋げたりできるゆるい性質を持つ必要があった。そのため耐力壁を外周部から離して小上がりの東西には家族動線とも生活空間ともつかないスペースをとる。そして家族の帰省でプライベート空間が必要になった時は、登り梁に直接ついたスナップボタンにキルティングウォールを設置して、補助的に仕切るキルティングウォールを設けた。
外観の配色は、庭の植栽やグラウンドのフェンスに類似した黄緑色や、施主が用いていたテラコッタの鉢植えのようなオレンジ色を起点にしているが、目の前の高速道路や川を横断する水菅橋など土木構造物に用いられる人工色とも親和する。
改めてこの土地に戻ってきた一家は、すでにいくつかのものづくりを始めている。ピロティでは小上がりに収納する引き出しを自作し、部屋から木々を眺めながら庭のイメージ図を描く。コストの都合で先送りになった東側のブリッジは計画を前倒し、今年の春には2階から直接川に出ることができる予定だ。
近くと遠く
near and far
/Data
Usage : Residence
Location : Aichi
Team : Rui Itasaka, Tezzo Nishizawa, Nanaka Shudo
Client : Private
Structural engineer : Hirotoshi Komatsu/小松宏年構造設計事務所
Construction : 箱屋
Collaborator : Yuki Tsutsumi(curtain)
Financial Planning : Around Architecture
Area : 105㎡ (total)
Completion date : 2025.12
Photo : Ryo Adachi